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溢れた、想い①


テーマ : 二次創作小説 ジャンル: アニメ・コミック


こちらもまた、某所にてこっそり公開してたものです。
九巻、爽子視点。


溢れた、想い①



『風早、すきな子いるよ?』
『俺のすきと、黒沼のすきは違うね…』


分かっていた筈だったのに。
認めたくない現実を突き付けられて、涙が止まらなかった。
泣いて、泣いて、身体の水分が全て涙になってしまったかと思うくらいに泣いたのに。まだ、ふと瞬間に泣きたくなってくる。

困らせたくない。迷惑になりたくない。
それだけ、だったのに。
せめて、私が風早くんに出来る事はそれだけだと思っていたのに。

「やっぱ風早、貞子ちゃんの事すきかも!」
「ごっ…誤解!ちがうちがう!それは誤解なので!」

丁度たくさんの生徒達が登校してくる時間帯の玄関で、大きな声で師匠がそう言うと、当然のように周りの人達が騒ぎ出す。
大変な事になってしまう、早く誤解を解かなくちゃ。
これ以上、迷惑なんてかけたくないのに。
必死に「すきの意味が違う」と続けていたところに、丁度風早くんが登校してきた。

「あっ…」

目が、合ったのに。
朝、せめて挨拶だけはしたいと思っていたのに。
何も言葉を交わせぬまま、風早くんは友達と何時ものように喋りながら行ってしまった。
なにもないと、言いながら。

…たぶん、そうなんだろう。
本当に、風早くんにとってはなんでも無い事。
昨日の事も、今の事も…。
分かっているのに、まだ胸が痛い。
あんなに泣いたのに、また目の奥が熱くなってくる。
こんなの、違うのに。
何時だって、私が勝手に勘違いして…。

「…俺が言うのもなんだけど、多分あんた言葉足らず」

横を通りかかったところに真田くんがそう言って、そのまま通り過ぎていく。
何も、言えなかった。
そうなんだろう、と思うから。
だけど、それなら他に何を言うべきだったのだろう。
挨拶なんて、とても出来なかった。
誤解だと皆に伝える事が、正しくないとは思えなかった。
ちゃんと言わなければ、また風早くんに迷惑を掛けてしまうから。
だけど…だけど……本当に、それで良かったの?

『鈍さになれるな!』
『爽子もあたしたちも風早も、違いなんて何もないんだよ』
『私はちゃんと伝えたもの…ちゃんと間違いなく伝えた!一緒にすんな!』


昨日から皆に言われた事と一緒に、答えの分からない波紋がずっと私の中に広がり続けている。


それからずっと風早くんと何も話せないまま、学園祭の準備で日が過ぎていった。
このまま、ただ時が過ぎていくのだろうか。
砂時計が零れていくのを、ただ黙って見つめるように。
そんなのは、嫌。迷惑に思われていても、それだけは嫌だと思うのに…。
どうしたらいいの…―?


「爽子。黒沼爽子だよ」


学園祭一日目。
クラスの出し物である黒魔術カフェの、黒幕の向こうで。
初めて風早くんの話した時と同じ言葉が、そのまま私にも届いた。
黒幕で見えない姿が、けれどあの日の彼と重なる。

嬉しかった。とても、とても嬉しかった。
あんな感情、生まれて初めてだったの。

『オレには、風早にだけ壁があるように見えたんだよ。クラスの皆には作ってない壁をさ』

先程告げられた、思いも寄らない師匠の言葉に私は目を見張ってしまっていた。
壁を作っていたのは、私の方なの?
私、今まで伝えていた?
私の気持ちを、どれだけ彼に伝えた?
いつだって、まっすぐに言葉を返してくれていた風早くんに…。
尊敬や憧れだけじゃない。明るくて爽やかとか、それだけじゃない。
もっと、もっと大切な気持ちが何時だってあったのに。
それは何一つ、彼に伝えていない。

私は、今まで何を見ていたの――?

思い出す彼は…私のすきになった風早くんは、いつだってただの一人の男の子だって。
そんな事に、やっと気付いたの。

「いいや…もういい……」
「爽子?ちょ…あんたまさかあきらめ…」
「風早くんが誰をすきでも、もういい!」

そうしたら堪らなくなって、二人に先に帰ってと言って駆け出した。
「黒沼、教室」と真田くんの声が教えてくれたままに、教室へ向かって。

わかんないことは、もういいや。
伝えたいことが、たくさんあるの。
…後ろ姿。照れた横顔。あわてた顔。真剣に怒った顔。まじめな顔。悲しい顔。真っ正面からの満面の笑顔。

全部、すきなの。全部、欲しいの。
その想いが、今こんなにも溢れて来る。

伝えたいの。どうしても。
私から、私の言葉で。
伝えなくちゃ、いけないの。
だから、お願い。どうか聞いて。
どうか、貴方に届いて…―!

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時風 砂輝

Author:時風 砂輝
別冊マーガレットにて連載中「君に/届/け」の二次創作ブログ。
当然ながら、非公認のファンサイト。
二次小説等が受け入れられない方は、どうぞブラウザを閉じてください。

風早×爽子の小説ばかり増えると思われます。

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