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溢れた、想い②


テーマ : 二次創作小説 ジャンル: アニメ・コミック


爽子視点の話の続きです。
十巻告白シーンでよく出てくる「ちがうの」ってどういう意味なんだろうと色々と考えてしまいました。

溢れた、想い②


教室で、一人。
風早くんは、ただ静かに夕闇に染まっていく空を見ていた。
一度深呼吸をして、そっと扉を開ける。
誰も居ない静かな教室にはその音さえ響いて、風早くんが反応するのが分かった。

こっちへ、来る。

私の気持ちを伝えようと、そう決めて此処まで来たのに。
いざ彼の姿を見ると、やっぱり怖くて。
それでも、逃げだしたくなる気持ちを必死に留める。

「黒沼…」

彼は私の姿を見ると驚いて、呟くように名を呼んだ。
沈黙が支配して、ただ自分の早くなる鼓動だけが聞こえる。
身体の震えが、止まらないまま。だけど。


「…ごめんな」


(――え?)


突然の彼からの謝罪に、私は無言のまま驚く。
どうして。どうして風早くんが、私に謝るの…?


「泣かせてごめんな。いっぱい困らせてごめん」


思ってもいなかった事を言われて、思わず目を見張る。
泣いて困らせたのは、私の方なのに。


「…俺ばっか、言いたいこと言って…ごめんな」


(――違う)


「もし俺に言いたい事が出来たら、その時は言って。聞きたいんだ、どんな話でも。俺の気持ちは変わらないから」


まっすぐに私を見て、風早くんはそう続けた。
何時だって変わらなかった、その瞳で。


「うん…」


そう、答えるしか出来なかった。
変わらない、と言われてあの時の彼の言葉が蘇る。


『俺のすきと黒沼のすきは、ちがうね』


変わらない、その気持ちはずっと。同じになる事はない。
思い出して、あの日と同じように胸が痛む。挫けそうに、なる。
…ううん。分かってる。分かってる、の。


「吉田と矢野だったら、たぶん外…」


「…ちがうの!」


二人を探しに来たと思ったのだろうか。
そう続ける彼に、思わず遮った。
ちがうの。分かってるの。それでも、どうしても。


「風早くんに会いに来たの。風早くんに…言いたい事があってきたの…!」


いいの。それでも、いいの。


「このままでいい。聞いてほしい」


俯いて、扉に縋るように手を掛ける。
そうする事で、逃げないように震える身体に叱咤する。
伝えたいの。それでも、どうしても聞いてほしいの。

うん、と頷く彼の声が聞こえて私は目を閉じた。

どうか、伝えられますように。
私の中にあるたくさんの、抱えきれない程の想いを。
ひとつひとつ、最初から。


「私…今まで…何かをしたらいつも『ごめんなさい』って謝られてきたの」


何時も一人だった。誤解されてばかりで、それが当たり前だった。
そんな日々が、これからも続くのだろうかと思ってた。
変えたのは、貴方の存在ただ一つ。


「だから、風早くんに…初めて会った時『ありがとう』って笑って言ってくれて本当に嬉しかった…」


私、嬉しかった。本当に嬉しかったの。
風早くんに会えて、こんなにも世界が変わった。
私の傍でさえ、こんなにも優しい世界が広がっている事を知った。


「なのに私…あの時の風早くんと全く逆の事をしてた」


頑張れば、手を伸ばせば届くのだと、初めて貴方が教えてくれたのに。
ずっと、そうして頑張ってきた筈なのに。
風早くんに対してだけ、そうじゃなかった。何もしてなった。


「だから今度は『ごめんね』のかわりに…聞いて…」


甘えてばかりで、そのくせ待ってばかりいた。
だから、伝えなくちゃいけないの。
今度こそ、ちゃんと私から風早くんに…。


「笑ってくれてありがとう。話しかけてくれてありがとう。…優しくしてくれてありがとう。…私に…今まで知らなかった気持ちをいっぱい教えてくれてありがとう」


貴方は私に、たくさんのものをくれたの。
だから……謝らないで。


「…ちがうの…」


たくさんたくさん、お礼が言いたいのに。
感謝して…だけど、それ以上にもっと。
気が付いたの。私の中にある、どんどん大きくなっていく想いに。
抱え切れなくて、溢れ出しそうなこの想いに。


「すきなの」


気持ちそのままに言葉に出したら、涙まで溢れて。
一度零れだしたら、もう止まらなかった。


「すきなの……すきなのすきなの…すきなの」


他にどう言って良いのか分からなくて。
ただ繰り返す、何度も。その言葉だけ。


「すきなの…」


貴方がすきなの。それだけなの。
その気持ちだけが、今こんなにも溢れてる…―。


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Author:時風 砂輝
別冊マーガレットにて連載中「君に/届/け」の二次創作ブログ。
当然ながら、非公認のファンサイト。
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風早×爽子の小説ばかり増えると思われます。

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